【川崎が挑む“アジア青覇”決戦「密着ドキュメント」(1)】18試合1710分、39得点15失点で紡いできた物語の結末は――。佐々木旭「鬼さんや、今ここにいないチームのみんながつないでくれた」の画像
アル・ナスル戦で好プレーを見せた川崎フロンターレの佐々木旭 撮影:中地拓也

「昨日の夜、ふと思ったんですけど……」

 高揚感に満ちた4月30日のキング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムのミックスゾーンで、思いを馳せたのは佐々木旭だ。川崎フロンターレが準決勝でアル・ナスルを撃破した直後のことで、「あと一戦でアジア王者になれる」といったことを筆者が投げかけた時のことである。

 この試合に途中出場してスーパークリアをするなどチームの勝利に貢献した直後の万能型DFは、「昨日の夜、ふと思ったんですけど、あの蔚山戦からやってたんだなって思って、ここまですごい長かったですし、やっとここまで来れたんだなってすごい実感した」と言葉にする。
 そう、今、川崎フロンターレが紡いでいる物語は、直接的には昨年9月18日のACCLEグループステージ第1戦の蔚山戦での勝利から始まったのだ。ACLEではここまで12試合1110分を戦って、9勝3敗・27得点9失点としてきた。その間、何度も国境を越えてきた。その道のりは佐々木が話すように長く、そして険しかった。
 しかし、そのACLE24/25に出場できているのは2023年12月に天皇杯のタイトルを獲得したから。23年6月7日の栃木シティ戦から始まったこの年の天皇杯の戦いは6試合600分とさらに2つのPK戦に及び、12得点6失点を記録した。2つのコンペティションを合わせて「8試合1710分・39得点15失点」で手繰り寄せた5月3日のACLEの決勝戦なのである。

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