この2戦で「シュート力がアップ」した27歳、渡邊凌磨が実証した「ダイレクト」の有効性、守備の問題は「受け渡し」と【浦和レッズ2連勝が示す「強力な武器」と「細かい守備」】(2)の画像
61分に勝ち越しゴールを決めたトップ下の渡邊凌磨。シュートのうまさには、定評がある。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 2025年4月16日、浦和レッズ対京都サンガF.Cの試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は、2-1で浦和が勝利した。京都のフォーメーションは「4-3-3」で中盤は逆三角形。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言えるフォーメーションで、中盤は三角形を組んできた。
 記事前半に続いて、浦和の攻撃パターンの良いところや守備の足りないところを実際の試合映像とともに解説していくことにしよう。なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストに従って話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=M4WUIRtVAFs
 記事後半最初に取り上げるのは、23分の浦和のコーナーキックの場面だ。

■力んで撃って「枠を外れる」イメージが…

【23分の浦和のコーナーキックの場面】
 守る京都は、マンツーマンディフェンスで固めている。浦和のコーナーキックはデザインされた攻撃である。ペナルティエリアの左寄りのスペースにキックを蹴っていくのは、なかなか勇気がいる。なぜならば、京都がストーン役にゴールエリアの左角に1人を立たせていたら、簡単にクリアされてしまうからである。
 しかし、なぜそうならなかったのかといえば、金子拓郎が浦和から見たら右サイドに立っていたので、京都の奥川雅也が金子にパスが渡ったショートコーナーを気にして動けないでいたからである。
 マテウス・サヴィオからのパスを、松尾佑介(27)がシュートして先制点を得る。イメージとして松尾は、シュートを打つときに思いっきり足を振って、ゴール枠からボールが外れていく印象が強い。あんなにも力んで撃たなくても良いのに、と松尾のシュートを見て感じていた。
 しかし、前節も今節も、力まずにボールをゴールに入れることに集中して打っていた。実は、プロフェッショナルであっても相手がいる中でのシュートは、決めようとする気持ちから力んでしまいがちになる。このコラムで以前、渡邊のシュートがうまいと書いたのは、渡邊がインパクトを考えて、シュートを打っていることを指している。
 京都の守備は、ディフェンスに4枚いたのに、何人もがスライディングをして、なおかつ股を抜かれてゴールを決められている。
 ここでは、スライディングする必要はない。最初のシュートが一度選手に当たってこぼれたところをクリアしに行ければいいのだが、スライディングしたことで、間に合わなかった。ゴールキーパーの太田岳志も、前に人がいたので見えなかったのだろう。

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