■岡山や岩手でも広げるもの

 高知の10番をつける横竹翔に話を聞いても、「たくさんの方々の前で試合をする機会がないので、本当に貴重な体験ができましたし、これだけたくさんの方に興味を持ってもらえたので、次につなげられるように」と話して、貴重な対戦機会であったと言葉にしている。
 このように、川崎はタイトルを積み重ねる中でその存在感はとても大きくなっている。対戦相手の地にも、その効果を波及するようになっている。
 それは、今年3月に行われたアウェイ・ファジアーノ岡山戦でも似たようなものがあった。今季初めてJ1リーグを戦うチームは川崎戦で改めてその経済効果を体感したようで、アウェイ遠征を機に岡山県内の観光をしたサポーターについての地元報道も行われ、そして、SNSでもその効果の大きさが話題になっていた。
 また、岩手県陸前高田市での取り組みも見逃してはいけない。東日本大震災後の2015年に友好協定「高田フロンターレスマイルシップ」を締結すると、街ぐるみのやり取りを継続してきた。選手だけでなくサポーターや一般市民が行き交う魅力的な関係を構築している。
 チームの存在感が大きくなれば、そしてそれをサポートする人の数と勢いによって、サッカー界以外でも影響力は高まる。そしてそれが、さらにチームを大きくする。
 地域密着を掲げて他にはない取り組みを見せる川崎フロンターレだが、その成果によって、他の地域へも多くのものを波及している。その可能性は、とても大きい。
(取材・文/中地拓也)

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