■「幹をどれだけ、どうやって太くするか」

 吉田社長は川崎フロンターレについて「サッカーのこだわりがちゃんとあるクラブ」と言う。それを続けるために、「子どもの時から選手を”フロンターレサッカー”の中で育てていかないと」と説く。
「川崎フロンターレのサッカーが体に染みついた選手がクラブの“幹”になって、そこに、他クラブから来てくれた選手や外国人選手がくっついてくることによって、彼らも影響を受けてフロンターレサッカーをパフォーマンスしてくれることが大事だと思うんです。
 そのために幹をどれだけ、どうやって太くするかがクラブの使命。それは、アカデミーから始まるフロンターのサッカーをずっと育てあげていくっていうことだと思うんです」
 クラブの歴史と空気をより共有するために、サウジアラビア・ジェッダには怪我人を除く若手選手全員を帯同させた。決勝進出が決まったあとは、怪我で帯同できなかった選手も渡航させている。
「まだ試合にそんなに出てない選手も含めて、みんなで戦う。アジアのトップを目指す集中開催の3試合、クラブとして、選手にメッセージが伝えられていたらいいな」
 その後、チームは決勝まで進みながらも“アジア青覇”はならなかった。全員で悔しい思いをした。思い描いた未来図ではないが、それでも流した涙が川崎フロンターレの幹を太くする。そのために、育てる歩みは止めない――。
(取材・文/中地拓也)
【その13「対戦相手」へ続く】

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