【J1川崎を取材して感じた「育てる力と心」とは(12)】吉田明宏社長が語る「クラブの幹を太くする」の意味とは。「アカデミーから始まるフロンターのサッカーをずっと育てあげていく」の使命の画像
バフェティンビ・ゴミス氏との会話中に呼びかけたところ、笑顔でカメラに向いた川崎フロンターレの吉田明宏社長 撮影:中地拓也
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 川崎フロンターレの選手が子どもたちと交流する様子を、そっと微笑ましく見ている人物がいた。吉田明宏社長だ。場所はサウジアラビア・ジェッダ。まさかの場所での交流会に、社長自身、胸を熱くしていた――。

 ACLEファイナルズのためにチームは4月22日に現地入りしたが、その翌日、初めての練習を前に地元の子どもたちと交流する時間を持っていた。サッカー日本代表であれば目にする光景だが、クラブチームでは極めて珍しい。
 深い意味もなく、吉田社長に「すごいですね」と話しかければ「ウチのスタッフが奔走してくれたんですよ」と笑顔で話し出す。そして、「私が何か言ったからではなく、ACLEファイナルズが決まった瞬間に、現地の子どもたちと何かできないかとすぐに動き出して、各所に問いあわせをしてくれたみたいなんです」と笑顔で言葉を紡ぐ。
 さらに、「トップチームがフロンターレのサッカーをやってるのと同じように、事業部もフロンターレらしいやり方が染みついている。こんなにうれしいことはない」と社員を誇るのだった。
 現地の日本人学校に通う子どもは2人で、その関係者や家族を含めても集まったのは10人ほど。数だけ見れば、“少ない”と思うかもしれない。しかし、周囲に日本人が少ない環境で故郷への思いを馳せている人たちである。
「ここで2人のファンを大事にすることと、等々力に集まってくださる2万人のファンを大事にすることは一緒。そして、これからさまざまな人生を歩む選手にも何かを感じてほしいですね」
 笑顔の下の感情はとても柔らかかった。

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