【J1川崎を取材して感じた「育てる力と心」とは(9)】見えないところで誰よりも先に――運営・松坂一輝氏の支え方とは。選手・サポーターのために動く、「チームがちょっとでもいい方向に」の想いの画像
ACLE決勝で大きなブーイングを受けながら川崎フロンターレで先頭を走った松坂一輝氏 撮影:中地拓也
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 ACLE決勝の大舞台。地元アル・アハリのサポーター6万人ほどがスタジアムを埋め尽くす。その大観衆が一斉にブーイングを放ち、口笛を鳴らす瞬間が試合前にあった。川崎フロンターレの選手がウォーミングアップのためにピッチに出てきたからだが、その先頭を走ったのが松坂一輝チームマネージャーである。圧巻の雰囲気を前に、その表情は楽しんでいるように見えた――。

 松坂氏は川崎フロンターレの「フットボール事業統括部 運営部」に所属する。国内では運営正担当として活動し、ACLではチームマネージャーとして登録されている。さまざまな肩書を持つように、その仕事の幅はかなり広い。
 たとえば、アウェイゲームを前に現地視察をするのもその一つ。「アウェイはまずは強化の清水さんと西鉄さんと一緒に行って、ホテルやスタジアム、練習場まで全部チェックして、それを持ち帰ります」と話すように、チームが、そして運営が現地でスムーズに動けるようにさまざまに目を光らせる。
 さらに、サポーターへの想いも巡らせる。どこに幕が張れそうか、入場ゲートはどこにあるのか――ACLで転戦する異国の地でも、万全の応援をしてもらえるようにチェックする。
「そうした全部について相手チームと打ち合わせをするのが大きな仕事ですし、あとはマッチコミッショナーや試合の責任者の人とかといろいろコミュニケーション取りながら、チームが円滑に試合に臨めるようリクエストを出したりもします」
 見えないところで誰よりも先に、敵地でチームのために動いているのだ。

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