【J1川崎を取材して感じた「育てる力と心」とは(4)】「とにかく成長につなげてあげないと」と“育てる”を体現する石野智顕GKコーチ。アイデアと親心でフロンターレを支えるの画像
川崎フロンターレの石野智顕GKコーチ 撮影:中地拓也
全ての写真を見る

 4月9日の横浜F・マリノス戦前にまずピッチに姿を見せたのはいつものようにGKチームだった。その中で、チョン・ソンリョン安藤駿介に続いてサポーター前まで走ってくると、胸のエンブレムを叩いて自らを、いや、チームを鼓舞する人物がいた。石野智顕GKコーチである。試合への気持ちをこめるように、久々の先発となったソンリョンに熱意を渡すように、何度も何度もエンブレムを叩いた――。

 2024年から川崎フロンターレのGKコーチを務めているのが石野智顕GKコーチである。これまでさまざまなチームを渡り歩いて新旧のサッカー日本代表選手を指導してきた。今は、麻生グラウンドで情熱的な毎日を過ごしている
 石野GKコーチの練習の特徴は、さまざまな道具やシチュエーションを用いて実戦的たらしめること。サッカーの練習とは関係のないような器具も、その手にかかれば試合さながらの環境をもたらす。
 3月20日の公開練習で、大勢訪れたサポーターのちょうど目の前で行われたのがGK練習だった。
「今日は(GKの練習場所が一番目立つ)ここだから、楽しんでほしいな」
 そう笑顔を見せると、先述した器具を用いての練習を行う。想像とは違ったであろうGKトレーニングに、大きな歓声が沸いた。それも、一度や二度ではない。筆者は勝手に、勝ち誇った気分になった。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2
  3. 3