■山口瑠伊の長い走行距離が新たな武器に

 今年、川崎フロンターレは長谷部茂利監督の下でチョン・ソンリョン、山口瑠伊、安藤駿介と3人のGKが公式戦に出場している。その誰が出てもピッチで安定したパフォーマンスを見せていることは、ふだんのトレーニングの充実ぶりが示す何よりの結果だ。
 その中でリーグ戦で最も試合に出ているのが山口である。試合出場を重ねるほどに増している自信が、次の試合につながるシーズンを過ごしている。
 一方で、自信だけでない数字も見られている。山口のJ1・1試合平均の走行距離は約5.3km(記事執筆の4月11日時点)。これは他クラブのGKが4km台であることと比べれば、とても高い数字だと分かる。山口瑠伊は、キャッチだけではなくそのポジショニングにおいてもチームを支えているのだ。
「どっちが成長できる? 選手にも自分にも何度も問いかけている。一日1本、本気でやったら、1年で365本の本気の違いが出る。だから、一つ一つを大事に」(石野GKコーチ)
 多くの選手が試合に出て、そして、新たな芽を出しているGKチーム。川崎とゆかりが深いことでチーム入りした石野GKコーチではないが、川崎が持つ「育てる」を新たに体現している一人である。
(取材・文/中地拓也)
【その5「金明豪通訳」につづく】

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2
  3. 3