後藤健生の「蹴球放浪記」第260回「街中を素敵なトラムが走る光景」の巻(1) 大聖堂からダ・ヴィンチ「世界遺産」経由サンシーロのミラノ、民家の中の「細い迷路」をコトコト登るリスボンの画像
ブリュッセル(左)とミラノ(右)のバスおよびトラム乗車券。提供/後藤健生

 本場ヨーロッパでのサッカー取材は、蹴球放浪家・後藤健生の気持ちを高揚させる。スタジアムのみならず、環境が気分を盛り上げるのだが、そのひとつがトラムである。蹴球放浪家にとって、トラム=路面電車は単なる移動手段ではない。

■東京には「さくらトラム」だけ

 市内をトラム(路面電車)が走り回る姿。それは、非常にヨーロッパ的な光景です。

 昔は東京や横浜にも路面電車(都電、市電)が網の目のように走っていましたが、自動車優先で次々と廃止されてバス路線に変わっていきました。現在、東京には専用軌道を走る「荒川線(東京さくらトラム)」だけが残っています。

 ヨーロッパの多くの都市でトラムは健在です。

 僕が初めてヨーロッパのトラムを目撃したのは、1972年の秋に「クイズグランプリ」(フジテレビ)に優勝して、賞品のヨーロッパ旅行に行ったときでした。最初に訪れたロンドンは、地下鉄の街でトラムは見かけませんでしたが、次に訪れたイタリアではローマでも、ミラノでも数多くのトラムが走っていました。

 オレンジの塗装の、相当な年代物の車両が走っており、もちろん「乗ってみたいなぁ」と思ったのですが、そこは昔流の団体旅行。毎日、バスであちこちの観光地を見て歩く日程だったので、トラムはお預けでした。

 その後、ヨーロッパにしょっちゅう通う身になってからは、トラムやバスを乗り回すことになります。

 しかし、いちばん心が引かれるのは人生で最初に見かけたローマやミラノのトラムです。

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