■敗戦で感じた責任とは
「プロに入って初めてのゴールだったので嬉しかったんですけど、勝てなかったのが非常に残念」
ゴールについて聞くと、名願はそう吐露する。そして、「その前に自分で切り込んでいくつか打ったシュートを決めていれば、チームは今日勝てた試合だった」とも話し、チームを勝たせるためのプレーができなかったことを悔やんだのだ。
ゴールを記録したとしても、シュート自体に納得はいっていない。「もうちょっと外に巻くイメージだったんですけど、内に行っちゃって、ちょっとミスった」と説明し、「ラッキー」なものだったと率直な気持ちを明かして、自身の成長につなげようとしている。
それでも、シュートを打てる場所にいたこと、そして、実際にシュートという選択をしたことに成長を感じたと伝えると、「去年出場したときにやっぱりシュートまで行くことが少なかったなって自分の中で思ってたので、今年は、あまりパスのことは考えずにとにかくシュートに持っていく形をすごく意識していた」と、心の変化について言葉にした。
名願がプロデビューしたのは23年3月にアイスタで開催されたルヴァンカップの清水エルパルス戦。
「ゲームに入りきれなかったのが自分の中で悔しいし、自分の力を出せなかったのが悔しい」
当時の試合後に肩を落としてそう話していた姿とは違った、自身責任感と危機感が混ぜ合った口調をキューアンドエースタジアムみやぎのミックスゾーンでは見せた。もちろん、ピッチの上では試合にしっかりと入ってのプレーも含めて。
そして、その危機感についての気持ちを別の言葉でも明かす――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)