
宮城スタジアムに歓喜をもたらしたゴールは、喜びと悔しさが入り混じったものとなった。2025年3月23日、名願斗哉は2つの感情を内包しながら終了のホイッスルを迎えたのだ。
ジュビロ磐田を迎えたベガルタ仙台のJ2リーグ第6節。仙台は前半のうちに2失点を喫す。森山佳郎監督は後半に入るに当たって2枚替えを実施。1点を取り戻していい雰囲気がスタジアムに充満した77分、次なるカードとして切ったのが名願斗哉だった。
これが今季4度目の試合出場で、それぞれ時間もかなり限られてはいたが、この試合での起用法は期待が強く感じられた。そして、応えてみせる。右サイドでボールをつないでいた仙台は、ボールを持った武田英寿が中を向くや、ペナルティエリア内にいた郷家友太にパスを送る。背番号11はこれを冷静に収めると、ゴールを背にしながらその右に落とす。そこに待ち構えていたのが名願で、軸足としていた左足をラインに乗せたまま右足を振り抜くと、ボールはGKが一度は弾きながらも吸い込まれていったのだ。
プロ3年目にして迎えた初ゴール、期待に応えた思い、チームを敗戦から救った気持ち、そうした一つ一つが爆発して、ゴール直後には笑顔でベンチに走った。しかし、チームはすぐに3失点目を迎える。ミックスゾーンに姿を現した背番号24の表情は、ゴール後のそれとは違った暗いものだった。