■2トップの圧力が武田にスペースをもたらす
1点差に詰め寄った仙台は、ここから交代カードを切っていく。78分にエロンに代えてFW宮崎鴻を送り込み、86分には荒木を下げてFW梅木翼を投入する。2度の交代でMFも交代し、4人の選手を入れ替えた。
宮崎は184センチ、梅木は183センチだ。どちらも空中戦に強い。水戸は宮崎の登場後にCBを増やして5バックで対応しているが、長身の2トップへクロスを入れられたくない、クロスを跳ね返したあとのセカンドボールを拾われたくない、との心理が働く。
その結果として、DFはゴール前の、MFはペナルティエリア手前のスペースを、早めに埋めようとする。守備ラインが微妙に低くなって相手のプレッシャーが及ばないところで、武田がまたフリーでパスを受ける。背番号8がゴール前へクロスを入れると、宮崎がヘディングシュートで合わせ、GKにセーブされたボールを郷家がプッシュする。これがDFに当たってゴール前へ残ると、宮崎が再び頭でプッシュした。
90+3分、仙台は土壇場で同点に追いついたのだった。
J2リーグの序盤戦では、ジェフユナイテッド千葉が5連勝の勝点15で首位を快走する。J3から復帰したRB大宮アルディージャが4勝1敗の勝ち点12で、J1昇格候補のV・ファーレン長崎が勝点11で続く。同じくJ1昇格候補のジュビロ磐田は、3勝2敗の勝点9で5位だ。
水戸戦後のフラッシュインタビューで、森山佳郎監督は「小さくない勝点1だったかなと思います」と話した。0対2から追いついたことを評価したわけだが、この「1」を意味のあるものとするためにも、ここから勝ちクセをつけていくためにも、次節のホームゲームは重要だ。対戦相手は磐田である。J1昇格を目ざすライバルとの直接対決を、落とすわけにはいかない。