
■ミドルブロックを崩した1本のパス
【3月16日 14時キックオフ 水戸 2ー2 仙台 ケーズデンキスタジアム水戸】
今シーズンのJ2序盤戦は、リーグ全体の力が拮抗しているとの印象を強く抱かせる。そんな“戦国J2”の第5節から、3月16日に行なわれた11位の水戸ホーリーホック対9位のベガルタ仙台の一戦を取り上げる。
アウェイの仙台は、風下の前半から主導権を握った。ところが、風上に立った後半の56分と60分に連続して失点してしまった。
水戸はハイプレスに特徴のあるチームだが、守備時は4-4-2のシステムでミドルブロックを敷くこともある。2対0としてからはミドルブロックでの対応が多くなり、仙台はなかなかブロックの中へパスを差し込むことができない。
その流れを、1本のパスが変える。72分、左CB菅田真啓が最前線から中盤左サイドへ下りてきたFW荒木峻太へパスを通す。荒木が前を向いてボールを運び出したことで、水戸の右ボランチは荒木を追いかけ、右MFも連動して下がる。それによって、仙台のボランチ武田英寿がフリーでパスを受けた。
高精度の左足を持つ武田から、ペナルティエリア内で待つFWエロンへパスが通る。エロンは胸コントロールでボールを落とし、MF郷家友太が右足ワンタッチシュートを突き刺した。武田がフリーでパスを受けるまでの流れから、フィニッシュワークに定評のある郷家の追撃弾まで、「個のクオリティ」がつながって生まれたゴールだった。