■鎌田大地の得点にも結び付く
南野が狙った効果は確かにあった。中盤に位置的優位を作りながらワイドに展開することで、攻撃で三笘のポジションが高くなり、そこでボールを受けた三笘が縦に仕掛けたり、斜めのパスを前目で受けることにより、バーレーンのディフェンスラインを下げることができたからだ。
さらに言えば、サイドが機能すれば、中央は空きやすくなる。ただ、そこからゴールというところまで持っていくことができないまま、後半18分に南野は堂安とともに交代し、鎌田が南野のいたシャドー、伊東純也が右サイドに投入された。
日本に待望のゴールが生まれたのは、その交代から3分後だった。前半にはなかったようなスムーズなビルドアップでバーレーンのディフェンスを翻弄すると、3バックの左を担う伊藤の縦パスを上田がポストで落とし、前向きにパスを受けた久保の抜け出しから、右斜に抜け出した鎌田がラストパスを受けて、最後は”エジルシュート”とも呼ばれる地面にボールを叩き付けて弾ませる鮮やかなフィニッシュでゴールを揺らした。
鎌田が入ってガラッと流れが変わったように見えるかもしれないが、そのための布石を南野が敷いたところに、鎌田が決定的なものを加えたことは軽視できない。
(取材・文/河治良幸)
(後編へ続く)