■「ビルドアップに固執する必要があったのか」

 しかし、基本的に全体が下がり気味なので、中盤から前の選手たちの距離が遠く、コレクティブさに欠けた攻撃になり、セカンドボールからの二次攻撃など、連続性もなかなか出せなかった。
 その中でも26分には右外に開いたエリアスから、西原がボールを奪って乾、北川とつなぐカウンターから右外で受けた松崎がカットインで左足のシュートに持ち込むなど、京都が全体的にポジションを上げた背後を狙ったチャンスは見られた。
 松崎は「チャンスで決め切らなきゃいけないところもあったし、もう少し良い形のチャンスを作らなきゃいけないシーンもあったんですけど、チームとしてもう少し、ひっくり返すシーンが多くてもいい」と語る。このシーンでも左サイドバックの佐藤響が高い位置に上がっていたことで、松崎は一気に外のスペースを突くことができた。そうしたカウンターのシチュエーションに加えて、松崎はもう1つのアドバンテージがあったことを指摘する。
「特に北爪選手のところが佐藤選手に明らかに空中戦に分があって、何回も勝てているので。そこまでビルドアップに固執する必要があったのかなって」
 つまり清水の右サイドバックの北爪が高い位置で、京都の左サイドバックを担う佐藤と空中戦になれば、高い確率で勝つことができる。カウンターでなくても、そこを起点に同サイドの松崎をはじめ、乾や北川も高い位置で仕掛けることができるということだ。

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