■効果的だった「割り切った」サッカー
一方のノジマステラは、強豪相手に最初から割り切ったサッカーを目指していた。
シンプルに縦に蹴ってサイドの選手を走らせる。あるいは、前線に入れたボールを追って、セカンドボールを拾って攻めようとしたのだ。
そして、これがこの日のコンディションの中で非常に効果的だった。
ベレーザとしては、こうしたコンディションを考えれば、本来のやり方を変えるべきだったのだろうが、ベレーザというチームこそ、多くの中心選手が活躍の場を求めて海外に渡ってしまい、若い選手が多いチームだ。
ディフェンスラインこそ、30歳になった村松智子を中心にベテランで固めたが、攻撃陣は20歳前後の選手が並んでいる。18歳の眞城美春は昨年のU-17ワールドカップで活躍した選手だが、ボール・テクニックに優れるだけでなく、パスの角度やタイミングを変えて相手の意表を突くパスを出す、独特の才能を持った注目の選手。男女を通じて、僕が今、最も気になっている選手の1人だ。
そして、ベレーザは後半には、交代として18歳の松永未夢や16歳の青木夕菜を繰り出してきた。
一方のノジマステラは、28歳の大竹麻友をトップに、30歳を超えた南野亜里沙と川島はるなをシャドーに並べていた。そして、この能力の高い3人のベテランがピッチ・コンディションなどを考えながら前線でうまく振る舞って、カウンターから2点を奪って見せた。
つまり、今のWEリーグでは、賢く守って、戦術的に相手の弱点を突き、そこにちょっとした幸運(たとえば、気象条件)が加われば、いつでもアップセット(事前の下馬評では格上と思われていたチームが格下のチームに破れること、番狂わせ)も起こるようなリーグになっている。