■観客動員は平均「1500人」前後

 2021年に始まったWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)。

 当初は1試合平均5000人程度の観客動員を目標としていたものの、フタを開けてみると観客数は1500人前後で低迷したまま。これでは、クラブの収入が増えるわけもなく、今ではリーグの存続すら危ぶまれているのが現状だ。

 昨年のシーズン開幕前には2代目チェア(理事長)だった高田春奈氏が退任。Jリーグの野々村芳和チェアマンが兼任でチェアに就任した。副理事長には日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長が就任。JリーグあるいはJFAが積極的にWEリーグを引っ張っていく緊急措置である。

 創設当初は「女性活躍」の理念を高く掲げていたWEリーグ。理事の4割ほどを女性が占め、初代チェアにも女性の岡島喜久子氏が就任した。クラブにも女性役員の登用を要請し、女性監督の起用も奨励された。

 だが、アメリカのトランプ大統領がジェンダーや人種平等に逆行するような政策を打ち出している状況で、こういう言い方をすると誤解を受ける危険があるが、WEリーグが理念の実現を急ぎ過ぎた感があるのは事実。

 野々村体制では女性理事も減少した。WEリーグは「女性活躍」の理念よりも現実路線に舵を切ったのだ。理念の追求よりも、まずリーグ存続を優先した形だ。リーグとしての足固めができてから、「女性活躍」を実現していけばいいのだろう。

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