
サッカーを追い求めて、世界中を旅してきた蹴球放浪家・後藤健生。サッカーどころである南米には、数々の名勝負とともに刻まれた思い出がある。サッカー日本代表がつないだ「世界遺産」と「ワールドカップ」の記憶とは?
■登録された「ミッション」の拠点
昔、ロバート・デニーロ主演の『ミッション』(ローランド・ジョフィ監督)という映画がありました。調べてみたら1986年製作というのですから、もう39年も前の映画でした。
18世紀の南米大陸、パラナ河流域で現地のグアラニー族に向けてキリスト教を布教しようとするイエズス会の宣教師たちの物語。現在のブラジル、パラグアイ、アルゼンチンが接するあたりがその舞台です。ちょうどその頃、南米大陸に進出するスペインとポルトガルの間で境界線が引かれ、それが現在の国境線となっています。
「ミッション」は「任務」とか「使命」といった意味ですが(同じ映画でも『~・インポッシブル』のほうはこちらの意味ですね)、「布教」、「宣教」という意味もあります。英語では「Mission」、スペイン語なら「Mision」という、つづりになります。
さて、『ミッション』という映画は史実を基に作られた映画です。実際に16世紀から18世紀にかけて南米大陸の奥地では、イエズス会による布教が盛んに行われていました。そして、その拠点となった伝道所の遺跡が各地にたくさん残っていて、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
そんな、世界遺産の遺跡を見に行ったのは1999年7月のことでした。