■健闘で見えてきた「未来への光」
しかし、U-20代表の健闘によって、中国サッカーにようやく「未来への光」が見えてきた。
中国サッカーの根本的な問題点は、さまざまな意味での「規律」である。
たとえば、中国は「カンフー・サッカー」などと称されるように無用なファウルが多すぎるし、戦術的な「規律」にも問題があった。
監督の指示に従わずに自分勝手なプレーをしたり、猪突猛進して安易に縦に蹴り込んでボールを奪われたりすることがあまりにも多かった。
サッカーというのはチームプレーだ。いくらテクニックがある選手がいても、「規律」を守らないのではチームは強くなれない。
ところが、今回のU-20中国代表は「規律」が守られていた。
オーストラリア戦の序盤、いつものように縦に急ぎ過ぎて連続失点したが、2点を奪われてからすぐに修正して、自陣でしっかりとつないで形を作ってから攻めることを徹底させて流れを引き戻した。左サイドではスピードのある選手を生かした攻撃をしかけ、一方、右サイドではサイドバックとサイドハーフがポジションを変えながら連係するなど、戦術的な規律は最後まで守られた。
チームを率いるデヤン・ジュルジェビッチ監督(セルビア人)の手腕でもあるが、もう一つの理由は、レギュラーの11人のうち半数程度が山東泰山ユース所属で、一緒に中国3部リーグで戦っているのだという。彼らのコンビネーションを生かしたのだ。そして、地元開催ということもあり、準備も万全だったようである。
期待が多かった分、批判も強いようだが、中国はこの路線を維持すべきだ。