
サッカーU-20日本代表は、U20アジアカップで戦い、年代別ワールドカップへの出場権を手にした。だが、表面上の結果だけではなく、この大会ではさまざまな「変化」があった。現地に飛んだサッカージャーナリスト後藤健生が、サッカー日本代表とアジア、そして世界の「距離」の変化について指摘する。
■注目すべき「開催国」の変化
ところで、今大会で最も注目すべきチームは開催国の中国だった。
優勝したオーストラリアはグループリーグで中国に2対1で勝利しているが、前半の早い時間に2点を先制したオーストラリアに対して中国はすぐに1点を返し、その後は試合終了まで猛攻をかけ続けていたのだ。
ワールドカップ出場権をかけたサウジアラビアとの準々決勝でも、中国は完全にゲームを支配して多くのチャンスを作った。後半にはPKも獲得したものの、李誠宇のキックがGKに止められ、どうしても得点できず、90+5分にアルユハイビに決勝ゴールを奪われてまさかの敗退となった。
中国はかつて多額の資金を投資して、ヨーロッパや南米のワールドクラスの選手を獲得。強化が進むかと思われたが、その後、中国代表は弱体化し、昨年は日本に0対7という屈辱的大敗を喫してしまった。
さらに、各クラブのバックについていた不動産企業の経営が悪化すると、クラブも弱体化。アジア・チャンピオンズリーグで2度の優勝を誇った広州恒大は、恒大グループが経営破綻したため、2部(甲級リーグ)に陥落。今年1月には、ついに解散を発表した。