■樋口・舩橋佑のフレッシュなコンビ

 チームに好影響をもたらしているのは、小池・濃野の右サイドだけではない。指揮官はボランチも積極的に組み合わせを変えているのだ。開幕の湘南ベルマーレ戦は柴崎岳知念慶、東京ヴェルディ戦と26日のアルビレックス新潟戦は柴崎・樋口のコンビだったが、FC東京戦は樋口・舩橋佑というフレッシュな2人が先発。ランコ・ポポヴィッチ監督体制だった昨季前半はほぼ出番を得られなかった22歳の若きMFが躍動感あるプレーを前面に押し出したのである。
 2戦続けてベンチスタートとなった知念は「ボランチ競争が激化していることは強く感じています。オニさんが目指すサッカーの中で自分個人としてはやっぱりまだ技術が足りていない。そこを練習でしっかり伸びしつつ、長所をアピールしないと試合には出られないと思います」と厳しい表情で語っていた。2024年ベストイレブンの選手がスタメンの座をつかめないというのは、鬼木監督が求める基準の高さを物語っている。
 それは2018年ロシアワールドカップ日本代表の柴崎にしてもそう。30代になり、連戦回避という配慮もあるのだろうが、守備強度や攻守の切り替えをつねに出さなければ、毎試合出ることは難しくなる。それだけポジション争いが激化すれば、選手たちの目の色も変わる。今季の鹿島にはメンバー固定が顕著だった昨季序盤にはなかった緊張感が漂っている印象だ。
 ただ、本当の勝負はここから。3月8日の次戦・柏レイソル戦はアウェーゲームだ。鹿島はホームではめっぽう強いが、アウェーになると分が悪くなる。その壁を越えていかなければ、タイトル奪還はあり得ない。それを肝に銘じて、準備を進めてほしいところだ。
(取材・文/元川悦子)

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