「心技体すべて良し」新加入ブラジル人が浦和の攻撃の中心に、体を張った神戸の守備「最終ライン」に問題点【神戸VS浦和戦で見えた「新戦力の実力」と「今後の課題」】(1)の画像
柏レイソル時代も大迫勇也(写真奥)擁するヴィッセル神戸と対戦(2024年11月30日)し、1‐0で勝利したマテウス・サヴィオ(写真中央)。早くも浦和の攻撃陣を掌握しているようだ。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 2025年2月15日、ヴィッセル神戸対浦和レッズの試合がノエビアスタジアム神戸で行われた。試合は、0-0の引き分けに終わった。神戸は、武藤嘉紀と大迫勇也、酒井高徳と扇原貴宏をスタメンで起用。浦和は、新加入のダニーロ・ボザとマテウス・サヴィオを出場させる。浦和は、同じく新加入の金子拓郎や松本泰志も頭から使ってきた。その激闘から見えてきた両チームの「現在の状況」から「新戦力の実力」、「今後の課題」まで、試合のハイライトともに分析しよう!

 神戸のフォーメーションは「4-3-3」で中盤が逆三角形で、浦和のそれは「4-2-3-1」だった。まず、試合を見ての感想は、神戸は守備がしっかりしていて、体を張っての守りをしている。一方の浦和は、サヴィオを中心とした攻撃力に見るべきものがあった。

 試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=s_zjnUNbtDs

■強烈ミドル弾「なぜフリーで打たれたのか?」

【7分のサヴィオの縦パスの場面】
 セカンドボールを拾ったサヴィオが、自陣からドリブルで相手選手2人をかわしながら振り向きざまにポケットに縦パスを通す。松本が走り込んでシュートを放つ。ボールはポストに当たって弾かれる。サヴィオは体幹がすごく強く、相手が当たりにきてもビクともしない。なおかつ、彼が出したパスのセンスはすば抜けている。ターンして右足のアウトサイドで神戸のディフェンダー(以後DF)の左側にパスを出す。神戸のDFとしては、守りながら引くときに体の向きを変えてケアするので、DFにとっては難しい対応を迫られることになる。逆を取られるからである。サヴィオはそこまで考えて、パスを出しているのだろう。

【15分のサヴィオのミドルシュートの場面】
 神戸がクリアしたセカンドボールをワンバウンドさせてサヴィオがミドルシュートを打つ。ゴールキーパー(以後GK)前川黛也にボールが弾かれる。この場面は、サヴィオにフリーで打たれていることが問題である。何が問題かと言えば、ラインが低いことだ。浦和が右サイドからクロスを入れる前に、神戸はラインを上げなければいけない。2~3メートルラインを上げるだけで、サヴィオにフリーでシュートを打たれることはなかった。神戸は、最終ラインが引きすぎることがしばしば見られる。
 

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