■流れを変えた広島
ただ、今季の彼らは後半から流れを変えられる戦力がいる。その筆頭が菅大輝だ。1週間前の神戸戦でもファーストタッチで精度の高いCKを蹴り、荒木隼人の2点目をお膳立てしているが、高精度のキックはこの日も健在だった。
それがゴールという形で結実したのが、後半14分。菅の右サイドからのFKを昌子がヘッドで競り、加藤陸次樹が頭で折り返したところにトルガイ・アルスランが反応。浮き球のボールを高い技術で決め切り、同点に追いついたのだ。
「滞空時間の長いボールで『来るかな』という予測はしていたけど、自分のスキルを見せる絶好の機会だった。そんなに強いシュートは必要なくて、つま先でコースを変えるだけでいいと。右のアウトに(ボールを)かけて右の方に流し込みましたけど、GKも反応が難しかったと思います」とアルスランはしてやったりの表情を浮かべたが、菅からいいボールが入ったことで一連の流れが生まれたことを忘れてはいけない。
「途中から入った選手が試合を決めるという意識で1人1人がやっている」と菅も語気を強めていたが、スタメン・ジョーカーに関係なく、ピッチに立った選手が持てる力を発揮して、流れを変えられるのが、今の広島なのである。