■スキッベ「彼がこのクラブを選んでくれたのは本当によかった」
それを色濃く感じさせたもう1人の選手が明治大学から加入したばかりの中村草太。168センチと小柄なアタッカーだが、スピードとアグレッシブさは頭抜けている。その中村が大仕事をやってのけたのが、後半32分。ジャーメイン良のハイプレスでパスを引っかけ、中野就斗が中に入れたボールをジャーメインがシュート。GKが弾いたところに詰め、逆転弾を叩き出したのが、背番号39だった。
「とにかくフカさないということだけ意識しました。(ナムディン戦から2試合連続ゴールと)結果が出ているところは嬉しいですけど、プレーの精度や状況判断、頭の回転のところはスタメン組とまだ差があるなと感じる。そこはもっと引き上げていかないといけないですね」と22歳の若きアタッカーは野心を前面に押し出した。
スキッベ監督はこの中村のポテンシャルを高く買っている様子だ。
「彼と出会ったのは昨年の宮崎キャンプ。2回くらい練習に参加し、FC東京戦に出ましたけど、彼がこのクラブを選んでくれたのは本当によかったと思います。今季はスタートから出た11人だけではなくて、(途中から出る)彼ら個人の特徴を生かして違うサッカーができるのが強み。チームに新たな風を吹かせられる。それは大きいですね」と前向きにコメントした。
こういった新戦力効果がプラスに働いているのは紛れもない事実。この日の2-1の逆転勝ちも選手層拡大によるところが大。もちろん町田の岡村、菊池というCB2人がケガで離脱したのもプラスに働いたが、広島のチーム力が上向いているのは事実だろう。
ベンチには満田誠や新井直人といった実績あるメンバーも残っていて、彼らはまだまだ変化をつけながら戦える。今季公式戦3連勝で好発進した広島のさらなる進化が楽しみだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)