後藤健生の「蹴球放浪記」第252回「なでしこに引かれて善光寺参り」の巻(2)エースの決勝点でイタリア相手に「ウノ・ゼロ」勝利、七年に一度の見物の前夜に聞いた「飲み屋の会話」の画像
なでしこキャプテン熊谷紗希(左)もイタリア戦に出場し、見事、完封して見せた。写真右は、なでしこ期待の星、FCバイエルン・ミュンヘンの谷川萌々子。撮影/渡辺航滋(Sony α-1使用)

 サッカーを求めて世界各地を放浪する蹴球放浪家・後藤健生。時には、現地で遭遇したサッカー以外のものに興味を惹かれることもある。なでしこジャパンが手痛い敗戦を喫した相手に立ち向かった、あの日のように…。

■七年に一度の「御開帳」

 ちょうど、長野市の善光寺では七年に一度の「御開帳」が行われていました。

 長野市にある定額山善光寺(じょうがくさんぜんこうじ)は、643年に創建されたと伝えられている非常に古い寺です。信濃国の本田善光という人物が難波(大阪市)の堀江で阿弥陀如来像を発見して、これを持ち帰って寺を開いたそうです。当時の難波は、瀬戸内海を通じて朝鮮半島や中国大陸につながる港でしたが、沼地が広がる低湿地が広がっていたのです。

 皇極(こうぎょく)天皇の時代だというのですから、なにしろ古い話です。

 本尊の阿弥陀如来像は“絶対秘仏”で誰もそれを見ることはできません。しかし、そのご本尊の御身代わりとなる「前立本尊」という仏さまがあり、その前立本尊が七年に一度、開帳されるのです。本堂前には回向柱(えこうばしら)という大きな木の柱が立てられ、前立本尊と柱は綱で結ばれ、この回向柱を触れば、ご利益が得られるという仕組みになっています。

「御開帳は七年に一度」と書きましたが、「7年」でなく「七年」なのは、これが満の数え方ではないからです。つまり、2015年の次の御開帳は7年後の2022年ではなく、七年目の2021年。次回は、それからまた七年目の2027年ということになるのです。

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