■関東勢「勝ち残り」は偶然
だが、今ではサッカーは日本全国で盛んになり、地域間格差は小さくなっている。
第103回大会では関東勢3校がベスト4に勝ち残ったので「高校サッカーも関東勢優位の時代か」などと言った人もいるが、今回、初出場の東海大相模を含めて関東勢3校が残り、関東勢同士の決勝となったのは偶然のことだろう。最強と言われた大津も、流通経済大柏戦で勝利していれば、当然、決勝戦に残っていてもおかしくなかった。その他にも、可能性を秘めたチームはいくつもあった。
最近10年を振り返ると、青森山田が4度も優勝している。
青森県といえば、およそ「サッカーどころ」とは言えない地域である(J3リーグとJFLに1チームずつ参加しているが……)。地域間格差が小さくなったのは、この青森山田のように全国から中学生年代の好素材を発掘して、プロ並みのトレーニング施設を備えて強化する高校がどの地域にもあるからでもある。
こうした高校からは、毎シーズンのようにJリーグに進む選手が輩出される。
そうした全国大会優勝とプロ選手の育成を目指す強豪校と、普通の高校の部活動的なチームが混在しているのが、この全国高校サッカー選手権大会なのである。(2)に続く。