■荒木遼太郎のポジションは
そうなると、荒木はどこに入るのかという疑問が生じる。ちょうど1年前にFC東京に赴いた時、彼は「トップ下があるチームでやりたかった。そのポジションなら必ず自分の力を発揮できる」と自信満々に発言。有言実行の結果を残している。パリ五輪代表ではインサイドハーフ(IH)などもこなしたが、鹿島ではまずサイドからということになりそうだ。
となれば、樋口の入った右MFが最初の選択肢になるのではないか。川崎時代の鬼木監督はその位置に家長昭博を配し、フリーマン的な動きを認め、タメを作りながらゴールに関与する役割を担わせていたが、荒木が似たような位置づけになることも考えられる。左がドリブラーの松村なら、なおさらそういう色合いが濃くなりそうだ。
ただ、4-2-3-1にして、レオ・セアラがトップに陣取り、荒木をトップ下、鈴木優磨が右サイドという”秘策”もないとは言えない。実際、優磨は少し下がってタメを作る動きを得意としているし、家長的なプレーは十分できる。中後雅喜監督(現コーチ)体制で左サイドに入り、不発に終わった時もあったが、鬼木体制ならまた違った連携連動を周囲と構築できるだろう。
その配置なら3人を共存させられる。今回の練習試合ではその形を見ることはできなかったが、「選手にはいろんなポジションをやってもらう」と指揮官は宣言している。ここからの宮崎キャンプで王様タイプ3人の共存への模索が本格化することになりそうだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)