■「11-0で勝たなければならない」
残る試合は、12月17日(土)のオランダ×マルタ(ロッテルダム)と、21日(水)のスペイン×マルタ(セビージャ)。マルタは「中3日」でアウェー連戦、しかもロッテルダムからセビージャへの移動を強いられたが、「予選最終日」というものが整備されていなかった当時としては、珍しいことではなかった。
だが、ロッテルダムの試合結果に、スペインのファンは打ち砕かれる思いがした。オランダは前半を2-0で折り返すと、後半にも2点を加え、終了直前にはフランク・ライカールトが5点目を決めて5-0で快勝したのだ。
この時点でオランダは勝ち点13、8試合の総得点22、総失点6で、得失点差は+16。4日後にマルタ戦を残すスペインだったが、7試合終了時の総得点は12、総失点は7で、得失点差は+5に過ぎなかった。勝てば勝ち点ではオランダに並ぶ。しかし得失点差で追いつき、総得点で上回るには、11-0という、とてつもないスコアが必要だった。
「勝てばいい」ということと、「11-0で勝たなければならない」ということはまったく違う。7試合でのスペインの1試合平均得点は1.71に過ぎず、最多得点は、3-3で引き分けたアイルランド戦と、終盤のラファエル・ゴルディーリョの得点でかろうじて逆転勝ち(3-2)を収めたこの年5月のマルタとのアウェーゲーム、ともに3得点だった。