■柔らかなボールタッチは健在
サッカー日本代表監督の森保一監督も観戦に訪れた、日本におけるアンドレス・イニエスタ(40)の引退試合。
「EL CLASICO IN TOKYO」と銘打たれたレジェンド・マッチには、スペイン1部の2大強豪、FCバルセロナとレアル・マドリードの往年のスター選手が数多く出場するとあって、味の素スタジアムには、4万5725人もの大観衆が詰めかけた。
バルサ・レジェンズはイニエスタの他、4月までバルセロナで監督を務めていたシャビ・エルナンデスやエル・コネホ (ウサギ)の愛称で知られた元アルゼンチン代表のハビエル・サビオラ、そしてロナウド、ロナウジーニョと合わせて3Rと呼ばれ、ブラジルを5度目のワールドカップ優勝に導いたリバウドらが出場した。
一方のレアル・マドリード・レジェンズは、聖イケルこと守護神イケル・カシージャスや、世界最高の左サイドバックといわれた狂気の弾丸ことロベルト・カルロス、そしてイタリアのカテナチオ(ゴールに鍵をかける)を体現する、ベルリンの壁ファビオ・カンナヴァーロらが出場した。
試合前の整列時に、最後に入場したイニエスタは、ロベカルとガッチリと握手をかわし、カンナヴァーロと懐かしい友人に久しぶりに会ったかのように、数秒間、熱い抱擁(ハグ)をかわしていた。
また、試合前には、ヴィッセル神戸でイニエスタのチームメイトだった元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキも、ピッチに姿を見せた。
試合が始まって一番、驚かされたのは、イニエスタとシャビの衰えない技術だった。イニエスタはもちろん、5年前に現役を引退したシャビも、他の選手とは明らかに違う柔らかなボールタッチで、視野の広さを生かした遠近のパスや絶妙なスルーパスで決定機を演出。そのエレガントなプレーは、バルサの中盤を支配していた現役時代をほうふつとさせた。