
世界の変化に追いつこうと、自らも変化を続ける日本サッカー界。女子は「プロ化」へと踏み切り、男子は「秋春制」へと舵を切る。だが、その変化に直面して、数々の「大問題」が発生。先日の皇后杯を例に、サッカージャーナリスト後藤健生が日本サッカー界に警鐘を鳴らす!
■リーグ戦の中断期間中に「2つの大会」
INAC神戸レオネッサのフェロン監督は「スペインではなかった」と語ったが、日本のサッカー界でも、このスケジュールはまったく異例のことだ。
今シーズンの女子サッカーのスケジュールは、おおまかにこのようになっている。
なでしこリーグなどは、すべて従来の春秋制で行われているのに対して、WEリーグは秋春制。9月14日に開幕して12月1日までに前半の11試合を終了(その後、延期分の日程が入る)。後半戦は3月1日に再開され、5月17日に最終節が予定されている。
一方、今シーズンから「クラシエカップ」という名称になったWEリーグカップは8月31日に開幕し、11月6日までグループステージが行われ、12月8日に準決勝。そして、12月29日に東京・国立競技場で決勝が行われる。
そして、皇后杯は11月17日に開幕して、12月14日の5回戦からWEリーグ勢が参戦し、年をまたいだ1月18日に準決勝、25日に決勝という日程で行われる。WEリーグ勢にとって、皇后杯は中断期間中の大会であり、他のチームにとっては春秋制のシーズンが終わった後の大会ということになる。
WEリーグカップは、昨シーズン(2023/24シーズン)までは、リーグ戦開幕前のプレシーズン大会として行われていた。だから、皇后杯とはまったく別の時期の大会だった。だが、今シーズンからクラシエカップと名称を改めたWEリーグカップは、皇后杯と同じくリーグ戦の中断期間中の大会となったのである。
カップ戦というのは、勝利したチームは数多くの試合をこなして疲労を蓄積されるし、一方、早期に敗退したチームは試合がなくなってしまう。リーグ戦での戦いにも影響は大きい。
当然、強豪チームは過密スケジュールになってフィジカル・コンディションが悪化するのと同時に、フェロン監督が語ったように、3つの大会を続けて戦うことによるメンタル的な難しさも出てくるのだ。