■岡山にあって仙台になった「強力な交代カード」

 4つ目のポイントは「交代カード」だ。

 1対0で迎えた60分、岡山は1トップの一美和成に代えてFWルカオを投入した。直後の61分、敵陣右サイドでスローインを受けたルカオは、馬力のある突破で仙台陣内へ切り込み、本山の2点目をアシストした。

 本山がペナルティエリア内右から繰り出した一撃は、シュートブロックに入ったDFに当たってコースが変わり、GK林のセーブが及ばなかった。しかし、ルカオの馬力ある突破に仙台の守備陣が何人も引きつけられ、その結果として本山との距離を詰め切れなかった、シュートをブロックしきれなかった、と言うこともできるだろう。

 ここからの時間帯は「ルカオ劇場」だった。72分、相手CBを背負いながら反転し、右ポスト直撃のシュートを放った。83分にもペナルティエリア内右から右足を振り抜き、右ポスト直撃のシュートを浴びせた。

 背番号99のブラジル人がボールに触るたびに、スタンドの熱が上がり、それが仙台へのプレッシャーとなる。ルカオの登場で、岡山のホームアドバンテージがさらに際立つという効果もあった。

 ひるがえって仙台は、オナイウの投入後もドリブラーのMF名願斗哉、FW中山仁斗を攻撃のカードとして切ったが、ルカオのようなインパクトは残せなかった。

 スーパーサブと呼べるような選手は、シーズンを通して見つけられなかった。夏の移籍市場でレノファ山口FCから獲得したFW梅木翼は、加入後11試合出場でノーゴールに終わっている。スピードスターのオナイウも、32試合出場で2ゴールと得点力には課題を残した。

 試合後の森山監督は「J1に上がれるまでの力は足りなかったかな。J2のこのまま上がっても苦しかったと思いますし、もう一回しっかり地力をつけて、上がったときには残っていけるようなチームを作っていきたい」と話した。

 仙台にとっては残酷な結果だが、岡山の勝利に驚きはなかったのである。

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