得意な形から決定機「いろいろやってました」三笘薫が語った新システムとその狙い「難しいところがあった」フラム本拠地のピッチ、「できなかった」最後のところのプレーの画像
苦手とするフラムと相手の本拠地で戦ったブライトン三笘薫。試合後、侍アタッカーが口にした今後の課題とは…。撮影/原悦生(Sony α1使用)

■「どの位置でプレーしたのか」直撃

 12月5日に行われたフラム対ブライトン戦で、ブライトンは3−4−2−1の新しいシステムで戦った。

 三笘薫は3−4−2−1の「2」の位置、つまり「左シャドー」として先発したように見えたが、ワイドエリアに頻繁に開いてパスを受けていた。そして、本職を左SBとするペルビス・エストゥピニャンが左シャドーの位置に入り、攻撃に厚みを加えた。ただ守備時になると、三笘は中寄りのシャドーの位置に戻る。はたして、三笘はどの位置でプレーしているのかと、試合中に疑問に思った。

 そこで試合後、三笘に聞いてみた。「今日の試合は3-4-2-1のフォーメーションで、三笘選手がシャドーの位置に入ったという感じでしょうか」と。三笘は次のように答えた。

「どっち(=左WBと左シャドー)もですね。流動的に動いて、真ん中に入ったり、外に行ったりしていました。エストゥピニャンとポジションを替わったり、いろいろやってました。相手からすれば捕まえづらかったと思います。ただ、最後のところ(=ファイナルサード)に入っていくプレーがなかなかできなかった」

 三笘はふだんの4−2−3−1でも、三笘の持ち場である左サイドから中央にポジションを移すことが多い。サムライ戦士によると、フラム戦のプレーはその延長線にあり、「外と中」を交互にエストゥピニャンと入れ替わりながらプレーしていたという。

 筆者は質問を続けた。「三笘選手としては、この新しいフォーメーションのやりやすさ、やりにくさはどのあたりにありましたか?」と。三笘は次のように返した。

「フラムのクレイブン・コテージのピッチは狭いので、(要所要所で)数的優位を作って、選手同士が近い距離にいるほうがいいと思っていた。良いプレーもできていましたけど、前を向いてスピードに乗って仕掛けるのは、この狭いピッチだと、なかなか難しいところがあった。また後半、自分がサイドからもっとエグったりしないといけなかった。そうしないと、相手も最終ラインを下げてこない。いろんなプレーを見せないといけない試合だったと思います」

 三笘の言葉には、少しばかり説明が必要だろう。

 プレミアリーグの最新の発表によると、ブライトンの本拠地アメックス・スタジアムのピッチサイズは「縦105メートル」で、「横69メートル」。一方、フラムの本拠地クレイブン・コテージは、「縦100メートル」で、「横65メートル」である。

 今季のプレミア所属クラブで、フラムのピッチは、縦幅、横幅とも最も短い。アメックス・スタジアムに比べると、縦幅は5メートル、横幅は4メートルも短いことになる。そして過去2シーズン、ブライトンはこのクレイブン・コテージで全敗(2敗)しているのだ。

 三笘の説明をまとめると、こういうことなのだろう。ピッチの横幅が4メートル短いことから、フラムのDF4人がそれぞれカバーすべきエリアも小さい。そのためブライトンは、選手間の距離を短くし、エリア、エリアで数的優位を作り出そうとした。その策として、攻撃時に前線が5枚になる3−2−5を用いた。

 だが同時に、ピッチの縦幅も短いことから、三笘自身がスピードに乗ってDFラインの背後に仕掛けることも難しかった。縦幅が短ければ、スルーパスが出てもゴールラインを割ってしまったり、あるいはGKにクリアされてしまうからだ。

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