後藤健生の「蹴球放浪記」第242回「こんなところで手荷物検査⁉」の巻(2)北朝鮮でのW杯アジア予選では「意外すぎる」ノーチェック、韓国の名門では「生易しくない」厳重チェック、なぜかの画像
三星電子はKリーグの冠スポンサーでもあった。2000年Kリーグの取材パス。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界中のサッカーを巡るために、駅や空港、スタジアムなど、各国の施設を利用する。その際に避けては通れないのが、手荷物検査だ。国や場所、実施する人によっても違う検査から、サッカーのリスク管理にもつながる、各国の「お国柄」を読み解く!

■イタズラ心で「反北本」を持ち込み

 どう考えても、厳しい手荷物検査があると思っていたら、ノーチェックだったのでビックリしたのが北朝鮮でした。

 1985年の4月にワールドカップ・アジア1次予選の北朝鮮対日本の試合を観戦に、代表チームに同行したときのことです。

 僕は、イタズラ心を起こして、持ち込みの手荷物の中に『凍土の共和国』(金元祚、亜紀書房)という、当時有名だった「反北朝鮮」の本を入れておきました。北朝鮮に帰国した在日朝鮮人の悲惨な状況を告発した本です。

 これを見つけたら、彼らがどんな反応するだろう……。と思っていたのですが、結局、荷物検査などまったくありませんでした。

 このときの北朝鮮は、どういうわけか我々に対して非常に融和的でした。写真撮影も自由でしたし、平壌(ピョンヤン)の街中を単独で自由に歩くことさえできました。

 韓国では、ソウルの南山(ナムサン)に立っているソウル・タワーに上るときにも、カメラを取り上げられるそんな時代だったので、平壌で自由行動ができたのは驚きでした(「蹴球放浪記」第5回「本場ピョンヤンで犬を喰らう」の巻など参照)。

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