■リーグ戦で一度もなかった大量4ゴールを奪取!!

 仙台が決勝へ進出する条件は、勝利のみだ。同点に追いつかれた場合、シーズンの順位が上の長崎が決勝へ進出する。次の1点が、大きな意味を持つ。

 53分、試合が動く。長崎陣内の右サイド深くで、郷家がゴールラインぎりぎりでボールを残す。サポートしていた真瀬がグラウンダーのクロスを入れると、エロンがニアサイドの狭いコースを右足で射抜く。仙台が貴重な2点目をゲットした。

 長崎はリーグ最多の74ゴールを記録しており、右ウイングのマルコス・ギリェルメ、トップ下のマテウス・ジェズス、CFのエジガル・ジュニオが連携しながら、彼らがそれぞれに「個」の力を炸裂させてきた。仙台は3人のブラジル人にボールを供給させないことを徹底し、長崎の攻撃力を削いでいく。そして64分、中島の縦パスを起点に相手守備陣を崩し、郷家が至近距離から豪快に決めてリードを3点に広げる。

 76分に失点した仙台だが、アディショナルタイムに中島がこの日2点目を蹴り込む。誰も予想できなかった4対1というスコアで、リーグ戦で一度も記録できなかった4ゴールを奪って、仙台は敵地で長崎を退けたのだった。

 先制、中押し、ダメ押しと効果的に追加点を奪い、守備では相手のストロングポイントをほぼ完ぺきに封じた。仙台にとっては今シーズンのベストゲームと言っていいだろう。

 この試合のMVPを選ぶなら、中島で決まりだ。2トップの一角を基本ポジションとし、ボールの落ち着きどころになりながら相手守備陣に脅威を与え続けた。エロンが決めた2点目も、敵陣左サイドで彼がボールをキープしたところから始まっている。全得点に関わった中島の存在なしに、仙台の勝利はなかっただろう。

 22年のJ2降格後は7位、16位と不本意な成績に終わっていた仙台が、就任1年目の森山佳郎監督とともにJ1復帰へあと1勝まで到達した。リーグ戦6位の仙台は、7日の決勝もアウェイゲームとなる。対戦相手はファジアーノ岡山だ。こちらも4位のモンテディオ山形を3対0で退けてきた。

 下剋上を完結させるのは、仙台か、岡山か。リーグ戦で岡山に連敗した仙台にとっては、リベンジを果たす最高の舞台が整ったことになる。

 あとは、やるだけだ。

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