日本サッカーの父が提言した「JFL」、クラマー構想から外れたチームのための「全社」【5日で5連戦の過酷な大会「全国社会人サッカー選手権」は中止せよ】(2)の画像
過酷な日程で行われる「全社」。この大会が生まれた背景には、日本サッカーの父が…。(写真はイメージです) 撮影/中地拓也

 日本国内には、さまざまなサッカーの大会が存在する。その中でも独特の地位を占めているのが、「全国社会人サッカー選手権大会」だ。通称「全社」とは、どのような大会なのか。サッカージャーナリスト人生で初めて観戦した後藤健生が、同大会の「魅力」と「危険」を指摘する。

■目標は「JFL」への昇格

 さて、社会人連盟に加盟している「社会人」チームには全国リーグはなく、各都道府県リーグ、各地域リーグで戦っている。そして、各地域の1部リーグに所属するクラブの多くが全国リーグ、つまり日本フットボールリーグ(JFL)へ昇格することを目標にしている。

 それと同時に、すべての「社会人」チームが参加する、いわゆるカップ戦として存在するのが、全国社会人サッカー選手権大会なのだ。ここには、各地域の1部だけでなく、都道府県リーグに所属するチームも地域予選から参加できる。

 たとえば、今年の全国大会には東京都リーグに所属し、関東リーグ昇格を狙っているSHIBUYA   CITY FCが参加し、1回戦では中国リーグ所属で天皇杯で旋風を巻き起こしたこともある福山シティFCに勝利している。

 第1種チームが参加する全国選手権(カップ戦)としては、現在、下記の3つの大会が存在する。

 1つ目は、Jリーグや大学リーグ、社会人などを含めて協会加盟の第1種チームすべてに参加資格がある全日本選手権大会(天皇杯)。次に、各地域・都道府県の大学リーグ加盟チームに参加資格がある全国大学選手権(インカレ)。そして、最後にJリーグやJFLといった全国リーグと大学リーグ加盟チーム以外に門戸が開かれたのが、全国社会人選手権大会「全社」である。

 ちなみに、第60回全国社会人選手権大会には32チームが参加し、1回戦から決勝戦までを行った。全国9地域にある社会人サッカー連盟には、加盟チーム数に比例して出場枠が割り振られており、関東に7チーム、関西に5チームの出場枠が与えられ、最低でも2チームが参加できることになっている。それに開催県(今年は滋賀県)代表を加えた32チームが参加するのだ。

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