■今回の決定は「実業団チーム」の宿命

 そうした伝統を持つ横河武蔵野FCだったが、2016年には「東京武蔵野ユナイテッドFC」と改称してJリーグ入りを模索した。関東リーグ所属の東京ユナイテッドFCとの連携などを試みたものの、企業内での合意形成や地元自治体との関係構築も進まなかったようで、結局、Jリーグ入りを断念して今年度から元の企業内クラブ「横河武蔵野FC」に戻って活動している。

 武蔵野横河が「企業内クラブ」に戻った一方、ずっと「企業内クラブ」の形態で活動していたソニー仙台の場合は、一気に活動の終了という形となってしまった。運営していたサッカースクールも2025年3月をもって終了となるという。

 ソニー仙台は、モンテディオ山形をはじめ、いくつかのJリーグクラブで監督経験があり、地元宮城県出身の鈴木淳氏を2022年から監督に迎え、選手の補強も行って強化に努めていただけに、活動を終了するというのは突然の発表という印象だった。

 2020年代に入ってソニー・グループ全体が事業の見直しを進めているが、そうした中でソニー仙台の母体となっていた多賀城市での事業のスリム化を行うことになった。つまり、今回の活動終了の決定は完全に企業側の論理による活動終了。つまり、実業団チームに宿命の、いわゆる“廃部”だったのだ。

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