Jリーグの誕生とともに劇的な進化を遂げてきた日本サッカー。一方で、プロリーグではないものの、重要な部分を担ってきた「戦いの舞台」がある。日本のサッカーの成長を示す「JFLの現在地」を、サッカージャーナリスト後藤健生が探る。
■元Jリーガーもいる「企業内クラブ」
ソニー仙台やHonda FCは、企業のクラブと言っても、社員選手以外に元Jリーガーの契約選手がいたり、Jリーグクラブからのレンタル選手もいる。また、地元でサッカースクール活動なども行っている。
そうした意味で、かつて日本のサッカーをリードしていた実業団チーム(基本的に全員が社員のチーム)とは、いささか趣を異にしている。企業の枠内にありながら、そうした外への広がりを持ったチームを、ここでは仮に「企業内クラブ」と呼んで「実業団チーム」と区別しておこう。
第24節で高知ユナイテッドFCを破った横河武蔵野FCも、そうした「企業内クラブ」の一つである。
東京都武蔵野市に本社を置く横河電機株式会社の社内同好会として、なんと第2次世界大戦前の1939年に発足した長い伝統を持つクラブで、実業団形式を経て、2003年には地域密着型のクラブに衣替え。下部組織も充実しており、多くの有名選手を輩出している。
最近では筑波大学のキャプテンとして活躍し、年代別代表にも招集経験があり、2025年にジュビロ磐田に入団することが発表された角昂志郎もU-15まで横河武蔵野で育った選手だ(その後、FC東京U-18でプレーした後、筑波大学に入学)。