【引退決意のGK本間幸司が話す、サッカーのつながりとJ2水戸への愛 (1)】J1川崎FW小林悠が衝撃を受けたというシュートストップの裏話……「水戸に来い」と「分かってたよ」の優しさの画像
清水エスパルス戦でウォーミングアップする水戸ホーリーホックGK本間幸司 撮影:中地拓也

 絵に描いたように弾ける笑顔だった。24年10月6日のケーズデンキスタジアム水戸のピッチの上。清水エスパルスとの試合のハーフタイムにチームメイトとのボール回で体を動かす水戸ホーリーホックのGK本間幸司は、心からサッカーを楽しんでいた。

 1977年生まれで現在47歳の本間は、9月25日に重大な発表をしていた。29年間続けてきた現役生活にピリオドを打つというのだ。10月1日には記者会見を行って、その心境を吐露。疲労感やシュートストップにおける体の変化をその理由としていた。
 茨城県水戸市から発せられたニュースに、神奈川県川崎市で言葉を発したストライカーがいる。川崎フロンターレ小林悠だ。川崎一筋の印象が強い小林だが、実はプロデビュー戦は2008年に水戸ホーリーホックのユニフォームを着用して挑んだもの。大学3年生だった小林は特別指定選手としてJ2リーグ5試合に出た。そのデビュー戦について、「初めてのチームで守備のルールが分からず、必死に走った」と笑顔で振り返ったことがある。
 そして今年9月末の練習後、本間の引退について報道陣から話を振られると、当時の“衝撃”を語った。後にサッカー日本代表としても活躍し、川崎で数々のタイトルを獲得する小林だが、本間のシュートストップにプロの高い壁を感じと振り返り、そのスゴみをとうとうと語ったのだ。小林が後にゴールを量産したのは、その悔しさを打破しようと努力を重ねたことも一つの要因だったはずだ。

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