■ドイツ系が「中央アジア」に多いのは
さらに、カザフスタンでびっくりしたのは、ドイツ語が使えたことです。
あるとき、ホテルの前に止まっていたタクシーに乗りました。まあ、行き先は伝えられましたが、運転手とは話ができそうもありません。
カザフスタンでも、タクシーの車内には運転手の名前が表示されています。もちろん、キリル文字ではありますが、読み取ってみると「なんとかリッヒ」という名前でした。
「あ、ドイツ系だ!」
ロシアには、18世紀以来、数多くのドイツ人が入植しており、ヴォルガ・ドイツ人自治共和国という共和国まで存在していました。ところが、猜疑心の塊であるスターリンは、こうしたドイツ系の人々もナチスのスパイになるかもしれないと疑い、1941年には自治共和国を廃止して、中央アジアに強制移住させたのです。こうして、中央アジアには今でもドイツ系住民がたくさん住んでいるというわけです。
昔、ウズベキスタン代表にアレクサンドル・ゲインリヒという選手がいましたが、彼もドイツ系でした。「ゲインリヒ」という姓はドイツ語の「ハインリッヒ」に由来します。
それで、その運転手にドイツ語で話しかけてみたのですが、残念ながら彼はドイツ語は単語を知っている程度で会話には至りませんでした。