2023年8月2日、川崎フロンターレの選手とサポーターは猛烈な蒸し暑さの中にいた。観客席では熱中症に見舞われ、立てなくなってしまった人も出たほどだった。
この日、高知県にある会場で、川崎は天皇杯・ラウンド16を戦った。対戦相手は高知ユナイテッドSC。Jリーグ加盟を目指す立場のクラブが相手となったが、高温と高湿度も敵となって苦戦を強いられていた。
その試合で決勝点を決めたのは、佐々木旭。今年は主力として欠かせない活躍を見せているが、この時は、出場機会を得るために苦しんでいた。23年シーズンのトータルで言えば、J1リーグ戦の出場時間は586分。この試合でも先発メンバーから外れていた。
その佐々木が、試合を動かす。後半32分に途中出場すると、セットプレーから貴重なゴールを決めたのだ。苦悩を少し和らげるかのような活躍を見せた佐々木はその試合後、「瀬川(祐輔)くんがベンチを盛り上げてくれて」と、自身の活躍の裏に瀬川の存在があったと明かしている。
「“俺らがやるぞ”ってずっと言ってくれて、そういう先輩がいるんでみんな気合入っていますし、サブの選手で結果を残そうっていう思いが終盤の勢いにつながっている」
こう話す佐々木は、「“またベンチかよ”って気持ちはまったくない」とも話して、瀬川祐輔がベンチ組を盛り上げ、支えていたと笑顔を見せていた。