■因縁の舞台で進化した姿を見せられるか

 清水はここ4試合連続で失点を喫している。それでも3勝1分と勝点を積み上げているのは、「超攻撃的」を掲げるこのチームらしい戦いぶりと言える。

 気になるのはやはり、横浜FCの守備力だ。四方田修平監督が指揮するこのチームは、複数失点を喫した試合が「3」しかない。リーグ最多得点を記録している清水でも、横浜FCの守備を攻略するのは簡単でない。GK権田修一を中心に無失点でしのぎ、チャンスを確実に生かして勝点3を手繰り寄せる、というのが勝利へのシナリオとなる。

 そのためには、交代カードの仕事も重要になる。

 藤枝MYFCと対戦した前節は、MF矢島慎也が試合を動かした。ダブルボランチの一角で起用され、効果的な縦パスで攻撃のスイッチを入れていった。

 最前線ではドウグラス・タンキとアブドゥル・アジズ・ヤクブが、途中出場から決定的な仕事をしている。さらには高卒ルーキーのFW郡司璃来も、このところは途中出場でピッチに立っている。市立船橋高校で高校ナンバー1FWと言われた19歳がリーグ戦初ゴールをマークすれば、チームにさらなる勢いがもたらされるはずだ。

 横浜FCも交代カードは豊富だ。2シャドーならFW伊藤翔とFWジョアン・パウロ、1トップなら櫻川ソロモン、ウイングバックなら村田透馬らが控える。伊藤は途中出場が多いなかで、チームトップの7ゴールをあげている。36歳の経験豊富なストライカーには、とりわけ注意が必要だろう。

 今シーズンのJ1昇格争いに決定的な影響をもたらす今回の一戦は、東京・国立競技場で行なわれる清水のホームゲームだ。清水は昨年7月にも国立でホームゲームを開催しており、ジェフユナイテッド千葉と2対2で引分けている。

 昨年12月2日のJ1昇格プレーオフ決勝も、国立が舞台だった。1対0でリードした後半アディショナルタイムに東京ヴェルディにPKを献上し、土壇場でドローに持ち込まれてしまう。シーズンの順位で上回る相手に、眼前でJ1昇格を決められたのだった。

 悔しさにまみれる試合後、秋葉監督は「我々はプロだからこそ、勝たなければ何も意味がない」と厳しい口調で自身に、選手たちに問いかけた。

 あのドローゲームを経て、チームはどう変わったのか。国立での横浜FC戦は、清水にとってJ1昇格にふさわしいチームであることを証明する戦いでもある。

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