後藤健生の「蹴球放浪記」第231回「どこの国の領土?」の巻(1)母国をW杯ベスト4に導いた「ポルトガルの英雄」と南アフリカ大会で目撃した「オーストラリアの光景」の画像
南アフリカW杯開幕戦の入場券。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、取材先で既視感に襲われることがある。予期しない場所で突然、ヨーロッパの街並みが出現することがあるのだ。アフリカで、アジアで、蹴球放浪家が目にした、ヨーロッパ諸国による「歴史の爪あと」――。

■コアラの「好物」がアフリカに

 2010年のワールドカップで南アフリカを訪れたとき、インド洋に面した高速道路沿いでユーカリの木々を伐採している現場に遭遇しました。実は、ユーカリの木というのはオーストラリア原産で、水が少ない乾燥地帯でも成長が早いので、世界中の国々で緑化のために植樹されてきたのです。

 つまり、南アフリカにとって、ユーカリは「外来種」ということになります。

 そこで、南アフリカ本来の生態系を取り戻すために、外来種であるユーカリが伐採されていたというわけです。

 南アフリカとオーストラリア……。どちらも南半球にあって、ユーカリがよく育つことからも分かるように、気候や植生などの自然条件もよく似ています。そして、街並みなどもよく似ています。

 それは、どちらもかつての英国植民地だったという歴史によるものです。

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