■乾の絶妙アシストからL・ブラガが同点弾

 後半開始早々の50分、清水は同点に追いつく。自陣センターサークル手前でパスを受けた乾が、ドリブルで持ち出す。巧みなコース取りでペナルティエリア手前まで運ぶと、右側から並走したルーカス・ブラガへ丁寧なラストパスを届ける。ブラジル人アタッカーはペナルティエリア内からコンパクトに右足を振り抜くと、GKの手を弾いた一撃がゴールネットを揺らした。

 ホームのIAIスタジアム日本平で今シーズン負けなしの清水は、1対1に追いつくと一気に攻撃のギアを上げていく。前半から攻撃参加に積極的だった両SBに加えて、ダブルボランチの宇野禅斗と中村亮太朗もゴール前へ飛び出し、ラストパスやシュートに関わっていく。

 58分、左サイドの乾のクロスから、北川が同サイドに走り込んで頭で合わせる。北川はその直後にもペナルティエリア内右から、素早いターンで右足のフィニッシュへ持ち込んだ。チームトップの9ゴールを挙げているものの、6月8日の藤枝MYFC戦からゴールがないエースは、貪欲にゴールへ迫っていく。

 68分には右CKから高橋がフリーになる。ゴール正面からヘディングシュートを放ったが、バーを越えていく。

 秋葉忠宏監督が動いたのは79分だった。MFルーカス・ブラガとMFカルリーニョス・ジュニオを下げ、MF西原源樹とMF矢島慎也を投入する。2列目は右から矢島、乾、西原の並びとなる。

 86分にも2枚替えをする。北爪と北川に代えて、DF吉田豊とDF蓮川壮大が登場する。システムは3-4-2-1となり、乾が最前線に立つ。

 臨機応変にポジションをとる乾が数多くボールに触ることで、清水は最後まで長崎のゴールへ迫った。前半に比べて相手守備陣を左右に揺さぶる場面が増え、敵陣深くまで侵入する場面も増やした。後半は11本のシュートを浴びせ、長崎には1本も打たせなかったが、2点目を奪うことはできなかった。

 試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、「J1に昇格するため、J2で優勝するためにこの勝点1が必要だったと、後々言えるようなゲームにしたい」と話した。3位の長崎との勝点差「8」は変わらなかったが、今節勝利した首位・横浜FCとの勝点差は「2」から「4」に開いた。9月28日に控える横浜FCとの直接対決まで勝点を積み重ね、首位チームにプレッシャーをかけ続けたい。

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