■「経験した人にしか分からない」激しさ
27歳のDFにとって大きな刺激になったのは、ベルギーから巣立ち、プレミアリーグや欧州5大リーグで活躍している選手たちの存在だ。
特に三笘は、2021−22シーズンにサン=ジロワーズのチームメートとして共闘した仲でもある。彼らの活躍について、町田はこう語る。
「カオル(三笘)に限らないことなんですけど、サン=ジロワーズからステップアップした選手はたくさんいます。ブライトンにいるFWシモン・アディングラ(コートジボワール代表)や、シュトゥットガルトのFWデニズ・ウンダフ(ドイツ代表)も、ここで一緒に戦いました。
彼らがプレミアリーグやブンデスリーガで活躍しているのを見ると、プレミアリーグも遠い存在ではないように感じますね。本当に、身近に感じます。彼らがその自信を与えてくれているので、早くそのレベルでプレーしたい気持ちはありますね」
町田のポジションであるディフェンダーにフォーカスすると、冨安がシント=トロイデンでプレーし、イタリアのボローニャを経由してアーセナルにたどり着いた。
「冨安選手からプレミアリーグについて話を聞いたりしますか?」と尋ねると、町田はこう答えた。
「今年4月にロンドンに行って、トミ(冨安)と橋岡と会って話をしました。
彼らから、プレミアリーグの激しさや難しさを聞いたりして。それは、たぶん経験した人にしか分からないのかなと。彼らがそうした凄さを日常で味わえているのは、本当に羨ましいです」
もうひとつ上のレベルでプレーしてみたい──。町田がそう考えるきっかけのひとつになったのは、昨シーズンの欧州リーグで相まみえたリバプールとの戦いだった。
町田浩樹(まちだ・こうき)プロフィール 1997年8月25日、茨城県生まれ。190センチ、80キロ。ポジションはセンターバック(CB)。長身を生かした空中戦の強さと、精度の高い左足のキックに定評がある。ジュニアユース時代から地元クラブの鹿島アントラーズの下部組織で育ち、2016年にトップ昇格。翌年、Jリーグデビューしたが、直後に全治6か月の大ケガを負う。復帰後、2019年シーズンはリーグ22試合に出場。2018年7月28日のガンバ大阪戦では、プロ入り初得点を決めた。2022年1月、ベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへ1年半の期限付き移籍を発表。2月13日のシント=トロイデン戦で先発デビュー。その後、負傷で試合に出られない日々が続くも、2023年1月に復帰し、3月には同クラブへの完全移籍を発表。翌4月には、早稲田大学人間科学部を卒業したことを発表した。同5月9日、クロッキーカップ決勝で、ロイヤル・アントワープFC相手に決勝ゴールを挙げ、クラブを110年ぶりの優勝に導いた。日本代表としては、2016年、AFC U-19選手権のメンバーに選出され、準決勝のベトナム戦で初先発。2019年、AFC U-23選手権タイ2020予選に挑むU-22日本代表メンバーに選出され、世代別代表に復帰。その後、2021年の東京オリンピックでは、1試合に出場。2023年3月、キリンチャレンジカップ2023にA代表として初招集され、同年9月のトルコ代表との国際親善試合に先発出場。A代表デビューを果たした。今年6月、結婚を発表。また、サッカー少年たちを支援するプロジェクトにも携わっている。