■「いいとこばっかりですね(笑)」

 その期待感の理由の一つは、A代表という特別な場所を経験することでのメンタル的な変化だ。これまで多くの選手を日の丸に送り込んできた中で、「代表選手」という大きなきっかけを得て、それまでとは違った責任感が芽生えた選手を見てきたからだろう。

 一方で鬼木監督は、「ただ、入ったからって変わるのかというと、タイプ的には分からないですけど(笑)」とも笑わせ、「でも、ポテンシャルはありますので、そういうところで感じるのは大事だと思いますし、当然、彼の中でも目標は海外とかあるでしょうし」と目を細めた。

 そして19歳DFへの親心をのぞかせながら、次のように続ける。
「海外で成功するためには、この麻生でどれだけトレーニングできているかだと思うんですよね。今まで海外に行った選手を見ても、そこは絶対におろそかにしちゃいけないんだろうなと。やることは変わらないし、積み上げるしかない。(高井に)ポテンシャルはありますけど、足りないところもありますので、こっち側はそこを気づかせてあげて、ストロングに見える部分を確立したものにしないといけない。

 でも、楽しみではありますね。あれだけ体が大きくて、動けて、上手ですし……いいとこばっかりですね(笑)」

 褒めつつも、そして、成長を求める部分を挙げながらも、指揮官は笑顔で高井について話した。そんな高井の表からは見えない変化について、筆者は8月14日にも聞いていた――。

(取材・文/中地拓也)

(後編につづく)

(2)へ続く
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