■際立った得点力

「岳君が球際で勝って、僕のところにボールをこぼしてくれたのが一番大きかった。あとは自分の思い切りの良さが出たゴールだったかなと。(鈴木)優磨君が動き出しているのも見えたけど、クロスを上げるよりシュートを振った方が可能性があると思った。自分としても1本目だったんで、思い切り振り抜こうという気持ちを出せてよかったです」と今季7ゴール目を挙げた濃野は笑顔を見せた。

 濃野の目覚ましい働きはこの一撃だけではなかった。23分に再び関川のロングフィードに反応してゴール前へ突き進み、後半に仲間隼斗の2点目が入った後には、三竿の浮き球のボールに名古新太郎が反応し、最終的に濃野が逆サイドに入って惜しいシュートを放つという決定機も作った。

 もともと関西学院大学の途中までFWだったとはいえ、ここまで際立った得点力を持つ右SBは滅多にいない。濃野自身は鳥栖U-15出身で、ユースに昇格できずに大津高校に進んだ経緯もあるため、「ゴールを奪って成長を示したい」という思いは強かったようだが、それを具現化してしまうところは見事だ。

「シンプルに新人だろうがベテランだろうが、SBで7点取るっていうのはなかなかできないこと」と7月に古巣復帰した三竿も感心していた。「彼が思い切り上がれるように、自分は横のサポートだったり、背中をカバーすることを意識していて、今日も守備負担を減らせるように『カットインのところは俺が狙うからタテだけやらせるな』と伝えました」と彼は年長者らしいサポートもしており、鹿島全体で鈴木優磨に次ぐ得点源に上り詰めた濃野にゴールを取らせる体制が確立されつつあるようだ。

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