「安定感は上」小久保玲央ブライアン、「成長著しい」19歳の高井幸大らJリーガーCB3人、「上田綺世を超える」本格CF【パリ五輪ベスト8で分かった「明日のサッカー日本代表」】(2)の画像
センターラインを安定させた藤田譲瑠チマ、小久保玲央ブライアン、木村誠二、高井幸大(写真、右から順番に)。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

 パリ・オリンピックを戦ったU-23サッカー日本代表の挑戦が幕を下ろした。ベスト8で敗退と、渇望したメダルには手が届かなかった。だが、その戦いぶりは、チームとして、個人として、大きな期待を抱かせるものだった。未来のサムライブルーの可能性に、サッカージャーナリスト後藤健生が切り込む。

■フィジカルが魅力の鈴木彩艶との「競争」で…

 オーバーエイジ枠を使わず、しかも、23歳以下の選手をすべてを招集できたわけでもない……。そんなチーム状態を考えれば、今回のU-23代表の戦いぶりはきわめて高く評価すべきだろう。

 そうした素晴らしいパフォーマンスを表現できた一つの原因は、GKの小久保玲央ブライアンからセンターバックの木村誠二と高井幸大、ボランチの藤田譲瑠チマ、そしてCFの細谷真大というセンターラインの中軸が安定していたからだ。

 オリンピック予選を兼ねたU-23アジアカップ以来、小久保の安定感は特筆すべきものがある。オリンピックでも、前線へのパスを試みてカットされてピンチを招くミスは何度かあったものの、守備面での安定感は抜群だった。マリ戦でのPKの場面でも、完全にシュートコースを見切っていた。

 GKというポジションは、これまで「日本サッカーのウィークポイント」と言われてきた。

 だが、パリ・オリンピック世代には鈴木彩艶と小久保という、2人の将来有望なGKが現われた。A代表では昨年秋以降、鈴木がゴールを任される試合が多くなっているが、1月のアジアカップではミスから失点を招いた場面があって、かなりの批判を浴びた。

 一方、小久保はU-23アジアカップ以来、数々のピンチを防ぎ切っており、「安定感」という意味では小久保が一歩リードしている。

 だが、鈴木にはフィジカル能力という大きな魅力がある。

 そして、鈴木は今シーズンからイタリア・セリエAのパルマでプレーすることになる。イタリアといえば守備文化の国であり、パルマといえば長くイタリアの守護神を務めてきたジャンルイジ・ブッフォンを育てたクラブである。鈴木の巻き返しも期待できる。

 鈴木と小久保という2人の若いGKによるハイレベルでの競争が続けば、これから、GKというポジションは日本代表のストロングポイントになるかもしれない。

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