■「フィジカルとメンタルの削り合い」のなかで…

 右サイドでボールを動かし、ボランチ宮本航汰がペナルティボックス手前の乾へスクエアパスを通す。乾はボールを収められなかったが、背後にいた宇野がトラップし、浮き球を右足で叩く。強烈なミドルシュートが、ゴールネットに突き刺さった。新加入のボールハンターが、ゴールという結果を残したのだった。

 前半のうちに同点とした清水だったが、後半に入った52分にゴールを許してしまう。相手のシュートが味方選手に当たり、コースが変わったことが影響したが、この時間帯は仙台の分厚い攻撃を浴びていた。乾がボールを失ったことがきっかけになったことを踏まえても、「不運」で片づけることはできなかった。

 攻撃のカルテットが質的優位を生み出す清水は、足元へのパスと「個」による局面の打開が多い。中長距離のパスで相手の目線を変えたり、ズラしたりすることは少ない。クオリティが得点につながればいいのだが、チャンスを生かせないとジリジリとした展開となってしまう。

 秋葉監督は65分から交代カードを切っていき、82分からは3バックに変更する。前線にドウグラス・タンキと新外国人アブドゥル・アジズ・ヤクブを並べて圧力をかけたものの、同点に追いつくことはできなかった。中断前からの連勝は「3」でストップし、苦手のアウェイでまたしても勝利を逃した、とも言える一戦である。

 試合後のフラッシュインタビューに臨んだ秋葉監督は、厳しい表情で振り返った。

「選手は堂々としっかりと渡り合って、フィジカルとメンタルの削り合いのなかで、勝とうとする姿勢を見せてくれたのでホントに誇らしいです。ただ、悔しいですけど今日は、執念みたいなものが仙台さんのほうがまさったかなというゲームでした」

 今節は2位のV・ファーレン長崎も敗れたが、3位の横浜FCが勝利したため、トップ3の順位が入れ替わった。勝点53の横浜FCが首位、勝点52の清水が2位、勝点51の長崎が3位となっている。

 次節は最下位に沈むザスパ群馬をホームに迎える。今シーズン負けなしのホームで、確実に勝点3をつかまなければならない。

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