■「ボールの奪いどころ」が定まらなかった

 スペイン戦の日本は、いつもならできること、過去3試合はできていたことが、できなかったという印象です。それは、中2日で4試合目という疲労もあったでしょうし、スペインから受ける圧力も関係していたと思います。

 大岩剛監督はハーフタイムにFW藤尾翔太、67分にFW佐藤恵允、0対2となった直後の74分にFW植中朝日、84分にMF荒木遼太郎と、一枚ずつカードを切っていきました。しかし、これまでのように交代選手の投入でギアが上がる、ということも叶いませんでした。

 試合を通して感じたのは、「ボールの奪いどころが定まらない」ということでした。アンカーのパブロ・バリオスを、誰が消すのかをはっきりできませんでした。日本は4-3-3から守備時は4-4-2へ可変してプレスを仕掛けますが、彼がDFラインに降りたり、細谷真大三戸舜介の「2」の背中を取ったり、中間ポジションを取ったりと、微妙にポジションをズラしてボールサイドに数的優位を作り、逆サイドへ振って全体が前進してきました。

 スペインの選手たちは技術が高いだけでなく、立ち位置が絶妙です。それによって、位置的優位や数的優位を作っていく。あれはもう身体に染み付いているもので、それこそが歴史、歴史がフットボールを後押ししているということです。

 11分に喫した先制点は、自陣でのトランジションがきっかけでした。山本理仁から三戸への縦パスを狙われ、その流れからフェルミン・ロペスにボックス外から決められてしまった。

 あの場面で日本の選手たちは、パスをつないでくるだろうと考えたのでは。そのぶんだけフェルミン・ロペスへの寄せが甘くなり、彼にシュートを打てる余裕を与えてしまった。ただ、あそこで「決め切る」力はさすがと言うしかありません。

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