■あえてのジョーカー起用
特に光ったのが細谷のチャレンジ精神だ。序盤から守備に忙殺され、屈強なDFにつぶされ、なかなかボールを持てない時間帯が続いたが、彼は愚直に自分の仕事を貫いた。そして全体にオープンになった後半途中からスペースに出てプレーするようになる。
得点シーンの少し前の後半31分にも、途中出場の藤尾翔太(町田)からのスルーパスに抜け出し、ポケットを取る動きを見せ、中に折り返したところに三戸が飛び込むというビッグチャンスを演出しているが、「自分が膠着状態を切り開く」という強い姿勢が垣間見えた。
彼自身はここまでゴールも奪えていないし、苛立ちもあっただろうが、どんな時もフォア・ザ・チーム精神を忘れない。それは4~5月のAFC・U-23アジアカップ(カタール)でも見られたこと。その仕事ぶりを大岩監督も高く評価しているからこそ、絶対に先発から外さないのだろう。細谷は自身の存在価値を改めて示したと言っていいのではないか。
平河悠(ブリストル)がパラグアイ戦(ボルドー)で負傷し、少なくともグループリーグ期間中は使えない中、それ以外のアタッカー陣が総合力を示したことも特筆すべき点。初戦で2点ずつを叩き出した三戸と藤尾をあえてジョーカー起用した指揮官の采配も見事だった。